つっくんのどうでもいいお話38
【明治村】その参
例年にない寒さに見舞われた2月も終わり、桃の節句(上巴の節句)も過ぎやっと春の気配が感じられるようになりました。節句は元々中国から入ってきたもので奇数の数字が重なる日には悪いことが起こると考えられており、その災いや邪気を祓うために祭りなどをするようになったとのことです。
また、旧暦のこの時期に桃の花が咲くことから桃の節句とされ桃には百歳(ももとせ)間で生きられるようにという不老長寿の願いも込められており、さらに桃には邪気を祓う力があるといわれ、鬼退治に行くのが「桃太郎」なのもそのためだそうです。
さて、博物館明治村のお話も三回目となります。北門から入ると先ず目に付くのが『帝国ホテル』中央玄関です。帝国ホテルはアメリカの巨匠フランク・ロイド・ライトによって設計され、大正12年(1923)に4年間の大工事の後に完成しました。建物内外は、彫刻された大谷石や透しテラコッタによって様々に装飾されており、メインロビー中央には三階までの吹き抜けがあり、中央玄関内の全ての空間は、この吹き抜けの周りに展開し、その個々の空間は、床の高さ、天井の高さがそれぞれ異なっているのが特徴的です。このテラコッタ(素焼き)タイルは帝国ホテルの外装タイルを製作するためだけに作られた「帝国ホテル煉瓦製作所」の技術問題として招かれた伊奈製陶(後のINAX、現LIXIL)の創設者とその父である伊奈長三郎、初之烝親子によって製作されました。ライトが望んだ色合いや表情のままの魅力あるデザインを、建築部材として求められる高い品質で、限られた期間に大量生産することに成功し、250万個のスクラッチタイル、150万個の穴抜け煉瓦、そして数万個の装飾タイルがこの重厚かつ繊細な建築物の重要な役割を果たしています。